ナックオの ピアノ 
〜ポーランドのお噺〜





るひ ラファウさんが ピアノをひいていると

まどから 5ひきの お客さんが やってきました。

「らふぁうさん」「わたしたち」「ぴあのを」「ひきたいん」「です。」

ことりたちは くちぐちに いいました。


「どうぞ えんりょなく!」

ラファウさんは いいました。

「きみたちだったら うたうようにピアノがひけるね とてもすてきなこえをもってるから!」

ohanashi002.jpg




ことりたちは うたいながら けんばんのうえで ダンスをすると

「さ」「よ」「う」「な」「ら」

といって かえっていきました。



「また どうぞ!」と ラファウさんはいいました。


****



ばらくすると まどをコツコツ たたく音

また お客さんがきたようです



ohanashi001.jpg

「ラファウさん わたしもピアノを ひきたいんです・・・・でも」



でも?


「わたし さっきの小鳥のようには うたえません」

ラファウさんは カラスにこういいました。



「きみがピアノをひいたなら ピアノはきっとよろこぶよ

だって、きみのくろいはねは ピアノにまけないぐらい きれいだもの」


カラスはよろこんで まっくろなくちばしで ポロンポロンとおとをだして


「ありがとう」といって そらにとんでいきました。

「どういたしまして」 と ラファウさんはいいました。


****







しん・・・ずしん。

しばらくすると ラファウさんのへやが ゆれはじめました。

ずずーん。

ほんだなのほんも がくふも みんなおっこちました。


ドアをあけると そこには・・・・。




ohanashi003.jpg



「ぼくも ピアノが ひきたいなあ・・・でもね」


でも?




「ぼくは おおきすぎて ちょっと むりかもしれない」


この町に ゾウなんていたっけ?とおもいながら ラファウさんは ちょっとかんがえて・・・いいました。


「きみがひいてくれたら ピアノはきっとよろこぶにちがいないよ

じぶんより おおきくて おもたいピアニストにであうなんて めったにないことだもの!」


ゾウは がぜんやるきになって ピアノのまえに かがみました そして

ながい はなのさきで やさしく おとをだすと



「また きたいなあ」といって ずしん ずしんと かえっていきました。

「まっているよ」 と ラファウさんは いいました。

****







いようが ちへいせんのむこうに ねむたげに すっぽりとかくれ

そらが オレンジいろから ぐんじょういろに ぬりかえられたころ


ごぼ・・・ごぼ。




バスルームから へんなおとがします 

「なんのおとだろう?」

ラファウさんが ゆぶねのなかをのぞいてみると・・・・



さば〜〜〜ん!

ohanashi004.jpg





とびだした ワニは こわいかおで 「がお〜!おどろいたか!?」と いいました

「とてもおどろいたよ ぼくのいえのお風呂が アフリカに つながっていたなんて!」

ワニは ひょうしぬけしましたが おおきいくちをあけて 

ピアノがひきたいんだ


と いいました





「おいらは らんぼうだから さわったら こわれちまうかもしれないし

ピアノだって こわがるにきまっているよ

おいらは こわい ワニだもの 」



それをきいて ラファウさんは こんなふうに いいました


「こっちにきて いすにすわって ピアノの顔をみて わらってごらんよ」



ワニは しぶしぶ くちのりょうはしを きゅーっとあげてみました。






ぴかぴかのピアノにうつったのは ぞろりとならんだ たくさんの は。


それは ピアノのけんばんにまけないぐらい まっしろで きれいでした。


ワニはピアノをこわさないように そうっと そうっと しろいけんばんを おさえました

そのあと

「さっきは びっくりさせて ごめんよ」といって かえっていきました。



「また いつでもここへおいで」 と ラファウさんは いいました。



ohanashi005.jpg



ワニは すっかりくらくなったみちを なんども なんども

ふりかえりながら あるいていきました。






ワニのめが よぞらのほしのように きいろく ちか ちか と ひかっていました。



ラファウさんは ワニのすがたが ちいさくなるまで 


みえなくなるまで



みおくっていました。






* おわり *







絵本「ナクウォのピアノ」ができるまで
 



ohanashi007.jpg 
Home